少子高齢化と人口減少が続く日本。不動産にも様々な影響がみられる。空き家問題は首都圏でも深刻化しはじめており、東京都の空き家も今や率で10%を越え、戸数が多いために実数においては全国一位になっている。都心部の再開発によって郊外で空き家が増えるという傾向も出てきているし、賃貸用ワンルームマンションの空きも多くなってきている。

そんな時代を迎えて、特にマンションに焦点を当て、何がおきているのか、今のトレンドから今後どのようになると推測されるのかについて、解説した本が牧野知弘著(文春新書)『2020年マンション大崩壊』である。

本書はマンションの資産価値が幻想であるという警鐘の書である。これまでに国内には600万戸のマンションが建てられた。今も毎年首都圏で10万戸の新築物件が出ているのに、建て替えはこれまで200棟足らず。住人が死亡して櫛の歯のように抜け、建て替えも管理もできない「スラムマンション」が国内いたるところに現れるのではないかと著者はみている。
人気のタワーマンションは、設備がかなり割高だ。上層階住民しか使わない、ゲストハウス、図書室などもある。高速エスカレーターや外壁工事も桁違いの修繕費がかかる。

困難なマンションの未来像が示される一方で、「国や自治体が出資する機構、役割を終えたマンションを全戸買い取り、必要な施設を建てる」という対策も書いている。

参考になる点が多い書である。