最近、タワーマンション購入による節税に規制が入る兆候と見られる出来事があり、一部の税理士の間で話題となっている。

タワーマンション節税に対してどのような規制が入るのか?
そして規制が入ると、どのような影響があるのか?

住まいと暮らしの実益情報メディア storie(ストリエ)より

Q.タワーマンションの購入による節税について教えてください。

伊藤氏:タワーマンションの購入による相続税の節税というのは、タワーマンションの区分所有で賃貸用に部屋を購入する購入価格と比べて、相続税評価が低くなることを活用して、相続税対策として相続財産を圧縮して相続税を低くしたり、生前贈与に活用するというものです。

タワーマンションに限らず、賃貸用不動産を購入すると、下記のポイントにより、一般的に購入価格より相続税評価が低くなりますので、相続税の計算だけを考えるのなら、キャッシュを持っているより賃貸用不動産を持つ方が有利になります。

・売買価格より相続税評価が低い(相続税評価は、土地は路線価、建物は固定資産税で評価するが、一般に売買実勢価格より低い評価になる)

・貸家の評価減(一般に、賃貸物件は土地が2割、建物が3割の評価)

・貸付事業用宅地の小規模宅地等特例の適用(一定の面積まで土地が50%評価減)

詳しくは個別に専門家にご相談いただければ良いと思いますが、端的に言うと、タワーマンションの高層階では、1億円の購入価格に対して、物件によっては相続税評価が2000~3000万円程度になることがあります。これは、タワーマンションの面積あたりの土地の評価は各階層において変わりませんが、タワーマンションの売買価格は、低層階よりも高層階の方が、眺望が良くなる等のプレミアムで価格が高くなることにより、特に相続税評価とのギャップが生じやすいことによります。

このため、相続税対策を講じる一部の富裕層に対して「タワーマンション節税」として喧伝され、タワーマンションが活用される事例が増えてきました。

Q. 今後、タワーマンションの課税評価額が変わることになるとすれば、どのような内容になると予想されるでしょうか?

伊藤氏:これまで一部において、もっぱら相続税対策として「タワーマンション節税」を利用したり、租税回避と見られても仕方がないような方法を用いる動きも見られ、課税当局が一定の歯止めを掛けるために、何らかの評価方法の変更をするべく対応を検討していることが、今回のパブリック・コメント募集のニュースになった背景であると推認されます。

これが、相続税評価額の計算方法を抜本的に変更することを予定しているのか、別途、何らかの防止策が講じられるのかはまだ見えていません。現時点で識者の観測を総合的に見る限り、法人の未上場株式の不動産評価の計算では相続税評価額は取得時から3年間は時価(通常売買価格)でされるのですが、これが個人においても適用されるようになるのではないか、という落ち着きどころが一つの目安となりそうです。

これにより、例えば、相続発生直前にタワーマンションを購入したりするような行為に、一定の歯止めが掛かることが見込まれます。

Q.そうなった場合、これまで節税対策としてすでにタワーマンションを購入している方はどうすればよいのでしょうか?

伊藤氏:税制改正がされる場合、どのような変更になるかは法改正が発表されるまでは分かりません。
また、税制改正には、すでにタワーマンションを購入している人に対しても遡って適用されるのか、税制改正で定めた一定の日付以降の購入に対して適用されるのか、というパターンがあります。
一般に、予見可能性がないようなルール変更はフェアではないため、税制改正が遡って適用される場合は多くはありませんが、どのように税制改正がされるかは予断を許しませんので、現状では、パブリックコメントやニュース・報道での方向性の見通しを注視していくしかありません。

Q.節税規制が実施されると、節税や相続税対策でのタワーマンションの購入需要にも影響があるでしょうか?

伊藤氏:これも税制改正の内容次第ではありますが、私の個人的な予想では、相続税の不動産評価自体が抜本的に変更されるというようなことがない限り、一般論として賃貸不動産購入が相続税対策に有効である、ということが変わるような制度変更までは至らないのではないかと思います。

もし、タワーマンション高層階の相続税評価を狙い撃ちするような税制改正がされると、タワーマンション個別要因での相続税対策ニーズの購入需要が薄れるという可能性はあります。

何らかの税制改正により、ルールの穴を突いたり、極端な方法が防止されることにより、その分の購入需要はもちろんなくなりますが、タワーマンションの購入自体が高額であるため、影響は一部の富裕層に限定的なものに止まるという可能性もあります。